プロバンス記 その30 もっとも幸運だった最悪の日 ②

 

cal1モンペリエの宿とガソリンスタンド。
この日、私が支払いをしたのはこの2か所だけです。
財布を失くしたのはこのどちらかであることはほぼ間違いないでしょう。
カルカッソンヌからモンペリエまでの150kmを引き返すことにした私は、スーツケースの奥に隠してあった予備の財布に現金と別のクレジットカードが入っていることを確かめてリュックに入れました。
落ち着くように自分に言い聞かせて最初はゆっくりと車を出します。

高速道路に入ると、すぐにいちばん内側の車線にに入ってひたすらシトロエンのアクセルを踏み込みながら、何度も記憶をたどってみるのですがこういうときの記憶ってホント曖昧なんですよね~(笑)。
戻ったとしてもガソリンスタンドという所はいろいろな人の出入りがかなりあるし、、
宿のスタッフは悪ふざけの若者たちだし、、、
まあ、見つかる確率はほぼないだろうなあ、、、、
などといろいろ考えながら1時間ちょっとでモンペリエに着くと、まずはガソリンスタンドへ行ってみました。

 

私が使った給油機やその周囲を見ましたが、やはりどこにも財布はありません。
売店のレジに行くと先ほどの女の子がまだいました。
スマホで
「私は財布を失くしました。知りませんか?」
という文章も内容も間の抜けたコトバをグーグル先生にフランス語に翻訳してもらって見せましたが、女の子は同情の笑みを浮かべて首を横に振りました。

 

まあ、そうですよね。。。

 

次に、宿に戻ってみました。
スタッフには電話で用件を伝えてあります。
対応したスタッフは、「部屋も探してみたけどどこにもなかったよ。」とのこと。
彼らの上司か宿の主人らしい男性も出てきて
「ここにはないと思うよ。そのガソリンスタンドで防犯カメラの映像を見せてもらったら?なんなら私が電話してあげようか?」
と。
でも、もし映像に私の財布を拾う人が映っていたとしてもどうにもなりません。
警察に届けても探してくれるわけでもないでしょうし、その時間も無駄な気がします。

 

結局、諦めてカルカッソンヌに戻ることにしました。
すぐに行動すれば予想どおり3時すぎには戻れそうです。
今日3回目になる150kmの道のりを今度は通常の速度で走っているとき、空腹に気付きました。
考えてみれば、朝食を食べてから何も口にせず400kmくらい車を走らせていたのだから当たり前ですよね。
高速道路で食事ができるサービスエリアを見つけて車を入れると駐車スペースに車を停めて遅い昼食をとりました。
サンドイッチをコーヒーで流し込みながら、
「やっちゃったな~」
と、ひとしきり落ち込みます。。。
でも失くした財布はスリや盗難に遇ったときのためにと、今は使っていない古いものだったし、現金はたぶん20ユーロくらいしか入っていませんでした。
クレジットカード1枚は残念ですが、他にも数枚持ってきているので今後の旅への影響は全くありません。
被害は最小限に抑えられたと思うべきと、自分の気持ちを切り替えてトイレを済ませて車に戻ってみると、、

 

3人のお婆ちゃまが私に向かって口々に何か言ってきます。
フランス語だから全くわかりませんが、どうも友好的な雰囲気ではありません。
すると、お婆ちゃまのひとりがアスファルトの上にあった赤いブレーキランプの破片を私に見せました。
どうやら私のシトロエンとお婆ちゃまたちの車がぶつかったようです。

 

えーーーーーっ?!

 

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