財布を落としたお話しを4回、1か月も費やしてやっとの思いで辿り着いたカルカッソンヌ。
実は私はこの旅の計画を立てるときまでこの街を知りませんでしたが、なんと!
かの有名なモンサンミッシェルに次ぐ観光客を集める場所なのだそうです!
イベリア半島の勢力に対する備えとして周囲に立派な城壁を備えた中世まで栄えた街ですが、17世紀にフランスとスペイン間の国境線を定めたピレネー条約が締結されると戦略的重要性がなくなり急速に衰退していきました。
城壁は打ち捨てられ、人口もどんどん減って19世紀末にはわずか112軒にまでなっていたというから驚きですが、1853年に始まった修復工事で城壁と街がよみがえり、今では多くの観光客が訪れるところとなりました。
しかし、この修復は往時のカルカッソンヌを復元したのではなかったらしく、修復者による多くの間違いが指摘されています。
観光地カルカッソンヌのいちばんの特徴であるスレートを使った尖った三角屋根もそのひとつ。
実はカルカッソンヌ地方ではタイル作りの平らな屋根が主流で、スレートを使った三角屋根は修復作業をしたヴィオレ=ル=デュックという人が北フランスの城を修復した経験から作ったものだとか。
ともあれ、この三角屋根が並ぶ景観が醸し出す中世のおとぎ話のような雰囲気のおかげで、これほどの観光客を集めることができるのだそうです。
ここではぜひ城壁の中に宿泊してみたいと思った私は奮発して星付きのホテルを予約しておりましたが、これは失敗でした。
いや、ホテルは悪くありません、決して。
ただ、今回の私の旅のスタイルと合わなかっただけなのだと思います。
ゴージャスなエントランスに機能的で無駄のないフロント、スタッフの誰が対応しても同じであろう洗練された接客、必要最低限のものがこぎれいに並んだ清潔な客室。
モダンなホテルに欠くことのできないエレメントをしっかりと備えています。
でも、みんな仕事をしているだけだからスタッフの顔を感じることが今までの宿ほどはない。
だからなのか、サービスを受けるゲストたちの顔も感じなくなってしまうんですよね。
小さな宿だと他の宿泊客同士が何かを共有する仲間みたいに思えるのですが、ここでは道ですれ違う人とそう違わないように感じます。
不思議ですね。
夕食は街中のカフェへ。
名物料理はカスレですが、私の好みではないので鴨のローストをいただきました。
もちろん美味!
いろいろあって今回の旅でいちばん濃い一日となりましたが、美味しい食事ですべてが楽しい思い出に変わったような気がしました。
感謝です!